第5歩:ジョロウグモ/さかでぃの森のむしめがね

「秋になるとクモの巣が目立つ気がします。」

先日のかぷかぷであるお母さんから話しかけられました。

その時遊んでいた谷戸の広場にも大きなクモの巣があちらこちらに。

ちょうど晴れて陽が差していたので、反射してキラキラと光り輝いており、

余計に目立っていました。


紅葉に目を奪われがちな秋の森だけど、発見は人それぞれ
紅葉に目を奪われがちな秋の森だけど、発見は人それぞれ

そう言われてみれば、この時期はちょっとした植え込みに、公園の街灯に、家の軒下に

大きなクモの巣が張られているのが目に留まります。

秋になって出てくるクモがいるのでしょうか?

それとも秋だけ大きな巣を張っているのでしょうか?


その答えを求めてあちこちで目に留まる大きな巣に近付いてみると、

網の中心には大抵黄色っぽい大きなクモ、ジョロウグモです。


赤黒黄と警戒してしまう色合いですが、毒も攻撃性も殆どありません

ジョロウグモは山から町まで広い範囲に住んでいてよく見られるクモです。

寿命は半年程で、前年の秋に産みつけられた卵の状態で冬を越し、

5月卵から芥子粒程の大きさの幼グモが孵ります。

その幼グモは、よく晴れた日にお尻から出した糸を風にのせて飛んでいくという大冒険をします。

飛んでいった先で巣を作り、そこで暮らし始めます。


「まどい」と呼ばれる卵から孵ったばかりの子グモたち

芥子粒のようだった幼グモは夏には1cm程の大きさに成長します。

しかし、この頃の巣の直径は20cm程で、その他のクモの巣と比べてもそれほど目立ちません。

ジョロウグモは孵化するのも成熟するのも他のクモに比べて時期が遅いのです。


夏の間、たくさんの虫たちを食べて成長したジョロウグモは

10月にようやく成長しきって3cmを超えます。

それに脚を広げているので体長以上に大きく感じるでしょう。

この頃には巣の直径は夏の2、3倍。存在感が増します。

大きな巣では直径1mにもなるのだとか。網を張るクモの中でも巣は大型の部類です。


また、秋が深まり木々が葉を落とすにつれ、

枝などに張られた巣がより目立つようになります。

巣が目立つのは、巣が大きく糸も太いというのもありますが、

もう一つ理由があります。


糸に付いているつぶつぶが粘球

巣に近付いて糸をよーく見てみると、綿あめがちょっと溶けた時のように

黄色っぽい液がついているのが分かると思います。

実は、これがクモの巣がべたべたする正体。

粘球と呼ばれるクモの粘液です。


この黄色い粘球が巣の横糸全体に付着しているので、

ジョロウグモの巣は光を浴びると金色に輝き、より目立つのです。

ジョロウグモ以外のクモの巣にも粘球はありますが、

色といい大きさといいこれほどはっきりしたものはなかなかありません。


というわけでクモの巣が秋に目立つ理由としては、

「大きくて目立つ巣を作るジョロウグモが秋に成熟するから」です。


虫を食べている様子も観察できるかな

ジョロウグモの巣を観察していると他にも発見が色々あるのですが、

今回はこのあたりでおしまいにしましょう。

11月いっぱいは十分観察できると思うので、お散歩でみかけたら

ちょっと勇気を出して、ぜひ近寄ってみてください。


でも、俳句の世界では「女郎蜘蛛」も「蜘蛛の巣」も夏の季語なんですよねえ。


さかでぃ


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【さかでぃ:プロフィール】

自然や環境のメッセージを人に伝えるインタープリター。

幼少期は虫捕り少年。

大学で水産学や動物生態学を学ぶ中で

科学コミュニケーションに興味を持ち、環境教育の道へ。

現在は、一児の父としてかぷかぷに参加中。


(次回は、11月15日(月)に更新予定です。おたのしみに!)

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