今回は、昨年かぷかぷで観察会が開かれ、みんなが興味を持ち始めているムササビの話。
ムササビはなんのなかま? 飛ぶらしいけど、どうやって飛ぶの?
ムササビは正式な名前をホオジロムササビと言って、本州・四国・九州に棲んでいます。
その名の通り、顔に白い模様があるのが特徴です。日本には他の種類のムササビはいないので、単にムササビと呼んで差し支えありません。ちなみに、外国にはカオジロムササビやホオアカムササビという種類もいます。
ムササビはリスの仲間。でも、体も尻尾もそれぞれ、三、四十センチメートルの長さがあるのでリスのイメージからすると結構大きいです。
木の上で生活する樹上性で、食べ物は木の葉や木の実。
木の葉は折りたたんで食べる習性があり、真ん中に円い穴が空いていたり、∨字型になっていたりと特徴的な食べ跡を残します。ムササビがいそうな森を歩く時はぜひ探してみましょう。
ちなみに、柔らかい木の葉がない今の時期は、冬芽やスギの花などを食べているようです。花粉症の身にとっては、ぜひムササビにたくさんスギの花を食べてもらいたいですね。
さて、ムササビの特徴は、なんといっても空を飛ぶこと。
鳥のように羽ばたいて飛び続けることはできず、木から木へ飛び移るだけですが、長いものでは160メートルくらいの距離を飛ぶという情報もあります。
この時使うのが「飛膜」という皮の一部が伸びたもの。これを使って、グライダーのように滑空します。
飛膜は、前脚と後脚の間、首と前脚の間、後脚と尾の付け根の間にあります。四肢をピンと伸ばすと、その膜が広がって空気抵抗が増し、対空時間が伸びるのです。
飛膜を広げて飛ぶ姿は、見上げると四角く見えるので、「空飛ぶ座布団」とか、「野衾(のぶすまと読む。衾は昔の掛け布団)」なんて呼ばれることもあります。
布団に見えてしまうくらい大きい飛膜なので、飛ばない時、即ち歩く時はだぶだぶして歩きづらそうに見えます。
そのせいかムササビが歩くのは木の幹を登る時と、幹から枝に移る時くらいで、地面を歩くことはまずありません。
食事もうんちも子作りも子育ても、全て木の上で完結します。
そんなムササビは夜に活動します。
夜行性動物といえば普通は出会うのが難しいのですが、ムササビの場合、日没からおよそ30分後に出かけ(出巣)、日の出30分前に帰る(帰巣)という規則正しい生活をしているので、その出入りを狙えば観察することができるのです。
巣穴からしばらく顔を出して辺りを窺い、巣穴から出たら木を登って横枝へ。毛繕いをして準備を整えたら、次の木へジャンプ。
木から木へ飛び移って食べ物のある場所へ向かいます。
そうして夜の間活動して、朝になると寝ぐらに帰ります。
日の入りが早い冬は子供たちが眠くなる前に観察に行けるので、おすすめ。
深い山に行かなくても、ご神木の様な太い木がある森の近くの神社やお寺にも住んでいることがあります。青梅っ子なら近所を探してみるのも面白いですね。
さかでぃ
「さかでぃの森のむしめがね」
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【さかでぃ:プロフィール】
自然や環境のメッセージを人に伝えるインタープリター。
幼少期は虫捕り少年。
大学で水産学や動物生態学を学ぶ中で
科学コミュニケーションに興味を持ち、環境教育の道へ。
現在は、一児の父としてかぷかぷに参加中。
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