第10歩:ロゼット/さかでぃの森のむしめがね

夏にはあれほどワサワサと茂って緑の世界を作っていた草たち。

冬の今は、地面を覆う芝生も道端に生えているススキも茶色くなっています。

冬の野原

植物たちはどの様に冬を過ごしているのでしょうか。

足元に目をやると、地面に葉っぱをぺったりくっつけた草がちらほら見えます。

近づいて見ると、中心から葉っぱが並んで丸い形になっています。

オニノゲシのロゼット

こんな風に葉っぱを地面にくっつけて生えている状態を「ロゼット」と呼びます。


ロゼットの語源はローズ。そう、バラです。

上から見ると何となくバラの花のようでしょ?

中には葉っぱが赤みがかっていて、いかにもバラというものもあります。

赤くなるのは紫外線から身を守るため

この様な形を取るのは、二つ理由があります。


一つは、身を守るため。

冬は冷たく乾燥した強い風が吹くので、

あおられて葉っぱや茎がぶつかると傷ついてしまいます。

また、冬は雪が降ることもあるので、

上に伸びていると積もった雪の重みでポキっと折れてしまうことがあるかもしれません。

でも、茎を伸ばさず地面にくっついていれば、その心配は大分減ります。

さらに、シカなどの草食動物も地面に貼り付いている葉っぱは食べにくいでしょう。


もう一つは、効率よく光合成をするため。

よく見るとロゼットの葉っぱは重なる部分がとても少ないです。

なるべく多くの葉っぱが光を浴びられるような配置になっているのです。

また、地面にぴったりくっついていると、太陽で地面が温められた時に、

植物の体もすぐに温まって光合成活動をしやすくなります。

ロゼットいろいろ

冬をロゼットで過ごした植物たち。

ハルジオン、タネツケバナ、ハハコグサなど、

冬の間に蓄えたエネルギーを使って春の始まりとともに上に伸びて花を咲かせます。

中には、マツヨイグサやヒメムカシヨモギのように春は伸び続け、

夏や秋に花を咲かせるものもいて、戦略の違いが興味深いです。


また、河原など栄養の少ない場所に生える植物には一年間ロゼットで過ごして、

二年目に茎を伸ばして花を咲かせるものもいます。

条件が整わないと何年もロゼットで過ごすようで、

オオマツヨイグサは花を咲かせるまで五年かかることもあるそうです。


さらには、オオバコのように一年中ロゼットの状態で過ごす植物もいます。

タンポポもオオバコほど地面に貼り付いてはいませんが、

暖かくなっても葉っぱの出方はロゼットの時とあまり変わりません。

花茎を伸ばすセイヨウタンポポ

ロゼットの植物がなじみ深いのは、

人の通り道や広場など、開けた場所に生える植物たちだから。

こうした場所では、踏まれたり刈られたりして、背丈が伸びる植物は生きていきにくい。

だから、ぺったり戦略を取って、必要な時だけ素早く成長する生き方を選んだのです。


気の早いミチタネツケバナはもう花を咲かせているものもありますが、

まだまだ多くのロゼットが春を待っています。

ちょっとだけ伸びて花をつけるミチタネツケバナ

歩く足の下、道の傍をぜひ探してみてくださいね。


さかでぃ



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【さかでぃ:プロフィール】

自然や環境のメッセージを人に伝えるインタープリター。

幼少期は虫捕り少年。

大学で水産学や動物生態学を学ぶ中で

科学コミュニケーションに興味を持ち、環境教育の道へ。

現在は、一児の父としてかぷかぷに参加中。


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